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イベントレポート「リーン・スタートアップ・ハッカソン」最終審査会

2015年10月10日
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2015年8月30日、ビジネス・ブレークスルー大学麹町校舎と大阪イノベーションハブで、リーン・スタートアップ・ハッカソン最終審査会が同時開催された。このイベントは、ビジネスアイデアの具現化を目的にハッカソン形式を取り入れたコンテストであり、BBT大学の学生が立案し大学がサポートする形でオフィシャル化させた初の試みでもある。
このリーン・スタートアップ・ハッカソンは、通常のアイデアソンやハッカソンとは異なり、一日限りでアイデアに合否を付けて終わってしまうものではなく、エンジニア、デザイナー、プランナーがチームを組み、長期的にメンターを付けてビジネス化する仕組みを創り上げ成功率を高めていくという、ブラッシュアップ型コンペティションである。
6月28日のアイデアソンを皮切りに7月5日のハッカソンを経て、その後約2ヵ月間をビジネスプランの練り上げに費やし、そして8月30日の最終審査会に臨んだのは以下の6チームである。

 
1. BBTiT編集チーム
空いているフットサルコートとプレーヤーをリアルタイムでマッチングするアプリ
2. Glance Navigation
スマートフォンで顔を撮影することで体重を測定できるダイエットアプリ
3. チームテトラ
消波ブロック(テトラポット)を海洋保全墓地として転用するアイデア
4. Guraffe
データを自動でチャート化できるアプリ
5. PUSH大阪
行政が発信する情報を対象となる市民に届ける仕組み
6. いつもと違う台湾
現地の人との交流型アクティビティーを提供する台湾旅行情報プラットフォーム

 
プレゼンテーションタイムは5分、質疑応答タイムは10分設けられ、各チームは限られた時間をフルに使ってそれぞれの持ち味をアピールした。
審査には本学講師陣の他、VC(ベンチャーキャピタル)やBIC(BBT起業家支援機関)の識者があたられた。また最終審査会の前半に「新規事業の創り方」をテーマに講演された片岡和也氏にも審査にご協力いただいた(特別セミナー「新規事業の創り方」の詳細はこちらから)。一般公開された本イベントは、観覧者の投票によるオーディエンス賞も設けられた。
審査は、独創性、ストーリー性、実現可能性、収益性、社会貢献性の5点を評価基準とした。これらの鑑点から審査が白熱し紛糾したのは、以下の2チームである。

 
■優秀賞「Glance Navigation」

このチームが考えたのは、スマートフォンで顔を撮影することで体重を測定できるダイエットアプリである。あらかじめ自分の体重と身長とその時の顔の状態(顔写真)を登録しておき、その後に撮影される顔写真との差分から体重を出していくという仕組みである。
開発者がこのサービスを企画した背景として、誰もがダイエットを意識して生活しているが、体重計に毎日乗ることを習慣にするのは難しいという点を挙げ、しかしながら今の時代、習慣にするまでもなく誰もがスマートフォンを手に取り眺めているという事に着目し、スマートフォンで顔写真を撮ることで体重を量れたら楽に楽しくダイエットを促進できるのではないかと考えたとのこと。
モバイルヘルスケア分野は2016年には800億円を超える巨大市場になることが予測されており、開発者はこのダイエットアプリが今後、病院やスポーツジムやエステの領域で活用されることが見込めるとしている。更には成長戦略として、ダイエットアプリで多くの顔写真を集めたのちに、医学の分野で顔色や人相から病気を分析するツールの開発に展開していく可能性についても言及した。
非常にユニークなプレゼンで多くの審査員の興味を引いたが、顔の形と体重との相関のアルゴリズムが脆弱である点を指摘された。しかし顔認識の技術が他分野のビジネスに応用可能と思われる点で得票を集めた。

 
■最優秀賞&オーディエンス賞「チームテトラ」
チームテトラ
チームテトラ2
このチームが提案したものは、テトラポットや漁礁といった緩やかに風化する公共の海洋保全物をお墓にすることで、死後の家族への負担を減らしたい故人と偶像崇拝を確保したい家族のニーズを担保しつつ、地域財政や寺にも貢献するという、三位一体のビジネスモデルである。
提案者である菊川貴信氏がこのビジネスモデルを考えた背景として、彼の御尊祖父が最近亡くなられたことから墓の問題や弔いのあり方について考えるようになり、そこで寺と墓とユーザーの現状を調べていくうちにニーズの多様化に対しキャッチアップ不足であることが判明。そこにビジネスチャンスがあるのではないかと思ったとのこと。
テトラポットを墓に見立てることの利点として菊川氏は、

 
・海から人を守る
死後も我々を守ってくれるメタファーとして、遺族の心の拠り所を担える
・共同墓地化
特定の墓を供養するのではなく、エリアを供養という大きな視野で捉えられる
・メンテナンスフリー
50年から100年かけて風化することが前提のものなので、その風化速度と我々の記憶にある故人(二世代前位まで)への崇拝の期間とが合致し理に適っている
・ローコスト
型のレンタル・セメント材料だけで済むので安い

 
以上の4点を挙げた。
また、地方行政が海岸事業予算と維持管理に関して予算を確保できておらず、海岸堤防の健全度が低下していることも挙げ、「海洋保全墓地ネット」という形で地域行政・宗教法人・故人(遺族)三位一体のモデルにすれば、永代供養問題、維持管理問題、コスト問題、地域財政問題、檀家問題といった方々にメリットがあることを提示。
樹木葬や散骨や永代供養に比較し今後ニーズが増えていくであろう、息の長いビジネスになることを示唆した。
審査員も度肝を抜かれる独創的かつアグレッシブな提案であったが、実現可能性に関しては法律問題やブランディングの点で幾つかハードルがあることを指摘された。しかし新しいエンディングビジネスのあり方を示し、社会に一石を投じる内容であったことが高く評価された。

 

上記2チームが審査においても拮抗し、審議時間を大幅に超過する事態になったが、最終的に「最優秀賞」と「優秀賞」の二つを設けることで落ち着いた。最優秀賞を受賞した「チームテトラ」は今後、本学のインキュベーションセンター「BIC」による指導が受けられることになった。

以下、審査員からのコメントを抜粋する。

 
「チームテトラは大きなビジョンのあるベンチャーであることが評価され、Glance Navigationは非常にキャッチーなサービスだと思った。しかしどちらも決め手に欠ける。そのままでビジネスになるかというと多分ならないだろうというのが審査員全員の意見なので、そこは真摯に意見を受け止めていただきたい。
個人的にはGlance Navigationを推していた。彼らが持っている顔認識の技術というのは、色んな分野に応用ができるのではないかなと思っている。一度BICでどんなものに使えるかをブレストしてみても良いのではないかと思う。(BIC角野氏)」

 

「自分もベンチャーをやっていた経験があり、現在も毎月一社を立ち上げている立場として感じるのは、100パーセント我々の商品の方が世の中にあるものよりも良いと思っていても、なかなか選ばれないのが現状であるということ。なので、まずは最低でもそのレベルまで創り上げてほしい。また、お客さんにとっては120パーセント130パーセント以上のものを見せないと、なかなかこちらに乗り換えてはくれない。しかしそれ位までのアイデアとモデルを創れたらあとは勝負するだけなので、そんな視点を持ってこれからビジネスモデルを創っていってもらいたい。(ウィルグループ インキュベーション本部 金谷氏)」

審査員1
「独創的なアイデアが生まれる貴重な場であり、価値あるイベントだと思えた。一方で、リーン・スタートアップ・ハッカソンという名前の通り、実行にまで繋げるという課題を持って企画してきたイベントでありながら、二ヵ月前の発表からピボットしたチームが一つもないというのが残念でならない。ベンチャーが出すアイデアが一ヵ月後もそのままというのは、何もしていないのとほぼ同義である。で実行していく中でブレて揺らいでいきながら本質を極めていく活動にこそ意味があると思うし、アイデア自体には価値はない。実行して具現化していくことで初めて価値が生まれるので、そこを愚直にやっていってほしい。
審査は白熱したが、チームテトラを最優秀賞にしたのは、アイデアを実行していくところの将来性に賭けてである。これを機に実現に向けて進んでいく事を我々も切望している。大きな社会的問題に取り組むその意義も我々としては応援したい。 是非チームテトラだけではなく6チームとも、世の中を変えるビジネスに具現化させていくところまで、続けてやっていってほしい。(株式会社iCARE COO片岡氏)」

 

「最初のアイデアソンフェーズから実際にプロトタイプを創るところまで持っていこうということで二ヵ月半携わってきたが、とても有意義な時間だった。我々は全国でアイデアソン・ハッカソン等を色々な形でやっているが、一番の問題はその場限りになってしまうこと。その意味では今回のメンバーに関しては、これが終わった後が実は本格的なスタートラインだと思うので、色んな所で話す機会やメンタリングを受ける機会を持って、是非形にしていってほしい。僕個人としては、それぞれのアイデアに対し、少し軸をずらしていくと市場がまだまだ出てくるのではないかと思えた。
PUSH大阪さんは、オープンデータをどう市民の中に浸透させていくかという課題が世界的にある中で具体的な形にしており且つ一市町村で導入され動きはじめしているところまで進めている。日本初のオープンデータを使った新しい市民サービスのロールモデルになるのではないかと思うので、まだ課題はあるが、取り組みを進めて日本全体の社会課題の解決に繋げていってほしい。本当に良い会だった。(高知大学講師 CLL須藤氏)」

 

そして審査員皆が、ここで終わらせるのではなく引き続きビジネスの実現を目指して頑張ってほしいと述べられた。

審査員2
二ヵ月半の長期にわたってビジネスを具現化するところまで創り上げるという点において、課題も浮き彫りになった最終審査会ではあったが、ここから皆が新たなモチベーションをもって前進していこうという様子が見て取れ、あらゆる意味において参加者や観覧者だけではなくメンター側にとっても大いに学びのある、そして心を躍動させる、建設的な場であったようだ。

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